2010年秋より改良された新型Sセンサーについて説明いたします。
◆ピアノ消音ユニットのセンサーの役割
ピアノ消音ユニットはアコースティック音を消すための消音機構がまずあり、消音後には鍵盤の動きにあわせてデジタルピアノ音を発音する
と言う大きく2つの要素があります。
通常ピアノの鍵盤は10mm下がるように設計されています。
この鍵盤の下に各メーカーが開発したキーセンサーが取付けられ、鍵盤の動きに合わせたデジタル音が鳴ります。
このデジタル音が言葉のとおりデジタル処理、すなわち0と1の信号で処理されます。
アコースティックの発音はアナログ(無段階)ですが、デジタルピアノ音が0と1で処理されると言うことは、見方を変えますと0か1しかない、すなわちONかOFFしかないと見ることができます。
このデジタル処理の最大の弱点は一度発音(note-ON)した音は必ず止音(note-OFF)しないと次の発音(note-ON)ができないと言うことです。当たり前のようなことですが、これがピアノ演奏に大きな影響を与えます。
◆アコースティックピアノの連打(トリル演奏)
アップライトピアノでは表現しにくいトリル演奏がグランドピアノでは可能になるのは10mmの深さで運動する鍵盤がアップライトでは
ほぼ100%(10mm)近く戻らないと次の打鍵ができません。
しかしグランドピアノは約50%(5mm)程度戻るだけで次の打鍵が可能です。この差がグランドとアップライトのタッチの違いのひとつです。
では連打でなく通常のピアノ演奏はどのあたりで音が消え始めるでしょうか?
鍵盤を下げて、戻していくとわかりますが約67%ほど戻った位置より音が消え始め、約90%の戻りで弦は止音され後は響板などの響きなどが
残ります。
◆消音ユニット、デジタル音での連打(トリル演奏)
前出のデジタル音は一度止音(note-OFF)しないことには次の発音(note-ON)が出来ないと言う条件でグランドのようなトリルを実現させるには50〜60%ほど戻った位置で止音(note-OFF)させると良さそうですが、実はこの設定にするとレガート演奏が不可能となり、音がプツプツと切れたような演奏になります。
レガートな演奏を表現するには止音(note-OFF)の位置をアコースティックに近い85〜90%に設定しないといけません。
このギャップがデジタル音のトリル表現を不完全にしてきました。
◆Quiet Time 新型Sセンサーでは
Quiet Time GT-2S / Magic Star S開発チームではこの難問に対して従来の通過式光センサーに替え、反射式光センサーを採用し、
また鍵盤アクチュエーターにて非常に小さい距離を効率よく測定させるプログラムを開発いたしました。
Sセンサーでは止音位置を鍵盤の戻り85%、そして音が消えきらない55%の戻りでも再度打鍵すれば発音(note-ON)すると言う、アナログ
表現に非常に近いデジタル発音システムを作り出しました。
一度弾き比べることができる環境でしたら、打鍵後に鍵盤をゆっくり戻しながらどの位置まで戻れば次の打鍵発音がプログラムされているかを確かめていただくと他社とのセンサーの反応の優位性を見いだせます。